素顔のキスは残業後に
くすぐっているような、刺激を探しているような、絶妙な動きにピクッと肩が震えて、

意識がそこに集中して頬が熱くなってしまうのに。

私のうなじを隠す髪がさらりと一束除けられると、柔らかい感触がうなじを這うように滑り出していって、


「ひゃっ――んッ」


不意打ちのそれに堪えきれない吐息が漏れてしまう。


いけないっ。聞こえちゃった!?


恥ずかしさにグッと唇を噛み締める。

いまできる最大の力で後ろを振り返ると、

やっぱりというか。ククッと楽しげに肩を震わす意地の悪い姿があった。


うわっ。悪趣味! あぁっ、大声で暴れてやりたい!!


心の叫びをなんとか喉に押し込めて、睨みつけてやる。

するとスマホ越しの部長から、「また変な声がしたな」と不思議そうな声が漏れて、

今度はどんな言い訳をするのかと思ったら。


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