素顔のキスは残業後に



「全然、ダメ」


そんな吐息混じりの低い声に彼を見上げると、顔をゆっくり横に振られる。

慣れない行為に指先の感覚はすでに限界だったけど、私だって「きっちり体で払うつもり」だ。

いや、なんか。その言い方は――


「愛が感じられない」


いや。だからですね。
そうやって妖しく笑うから、上手くいかないんだってば!


「もう見てらんねぇ。やっぱり自分でやる」

「大丈夫です。ちゃんと体で払いますから!」

「体で払うとか言うな。誘われねーぞ」


おい、ちょっと待て!

噛みついてやりたい気持ちで言い返そうとする。


グゥ――――

でも、またしても「お腹のペット」が悲鳴を上げてしまった。
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