スタートライン~私と先生と彼~【完結】


******


大学の卒業式も終わり、4年間過ごしたこの地ともお別れ。

この地で隆と過ごした時間は、私の人生で忘れることはできないだろう。

私は実家に戻り、隆は会社の近くでアパートを借りるらしい。


「やっぱり、沙知といちゃいちゃしたいし。声も気になるやろ?」


そんなことを言いながら私を彼の表情は、悪魔のようだった。


それに対し、「アホ!」と言うと、「沙知、顔が赤いよ?どんな想像したの?」なんて、さらに意地悪く言ってくる。


今まで歩いて5分の距離から、電車で1時間の距離となってしまった。


離れるのは距離だけやんね?

私は不安で不安でしかたなかった。

いつもそばにいてくれた隆がいなくて、その代わりに毎日会うのは先生だなんて・・・なんて皮肉なことなんやろう。


隆は一足先に入社式を迎えた。

帰って来た隆は私に残酷なことを話した。


「来週から1ヶ月、東京へ研修やって」


「1ヶ月も?」


隆がいないなんて考えられへんし。


「寂しい?」


隆は私の顔を覗き込み言った。


「寂しいよ・・・」


隆は優しく抱きしめてくれた。

寂しさと不安を打ち消すように抱き合った。


大丈夫やんね?


私たち。


きっと隆の方が不安なんやろうな・・・。


私は涙を堪えて、寂しさを紛らわすように、隆の胸の中に顔をうずめた。


< 239 / 353 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop