スタートライン~私と先生と彼~【完結】
付き合い初めて2年近くが経った。
まださっちゃんのご両親には挨拶していない。
それが、少し後ろめたい。
以前、さっちゃんのお母さんと弟さんには会っているが、付き合う前やし。
さっちゃんも俺の両親に挨拶することを条件に、さっちゃんのご両親に会うことになった。
1月2日
【もうすぐ着くよ。】
とメールを入れ、さっちゃんの家へ向かった。
俺は深呼吸をし、ネクタイを直し、背筋を伸ばして、インタードンを押した。
ピンポーン♪
俺は、尋常じゃないくらい緊張していた。
「失礼します」
とりあえず、大きな声を出しておいたら、印象は悪くないはず。
でも思った以上の声が出てしまい、恥をかいてしまった。
「隆くん、いらっしゃい」と出て来てくれたのは、さっちゃんのお母さん。
リビングに通されるとお父さんと弟さんが待っていた。
「隆さん、こんにちは〜」
「隆くん、はじめまして。沙知の父です」
さっちゃんのお父さんは、高校の国語の先生をしている。
いかにも教師という感じの貫禄があった。
でも、俺に見せてくれた笑顔が優しくて安心した。
「はじめまして。沙知さんとお付き合いさせていただいてます、笠野 隆です」
あまりにも緊張していたので、それが伝わったのか、
「はははっ、そんなに緊張しなくてもいいよ。楽にしてよ」
笑いながら言ってくれた。
「はい、ありがとうございます」
お父さんの言葉によって、少しだけ緊張がほぐれた。
さっちゃんと弟の聡くんの様子を見ていると、仲の良い姉弟なんやなぁと感じた。
「隆くん、実は・・・」
お父さんが突然、話をし始めた。
『実は』何ですか?
『実は婚約者がいるから別れてくれ』
『実は僕の子供じゃない』
俺の頭の中は、わけのわからない妄想でいっぱいになっていた。
「はい」
冷静を装って返事をした。
さっちゃんのお父さんと俺の高校3年の時の担任だった道浦先生とは同級生らしい。
ミッチー、いや道浦先生は、俺のことを褒めてくれていたみたいだ。
よかった〜。真面目にしていて。
でも、ミッチー、『女の子にモテてた』は余計です。
和やかなムードで時間が過ぎてくれたのがありがたかった。
夕飯は、もちろんお母さんの手料理。
さすが、さっちゃんのお母さんだけあって料理が上手。
どれもこれもおいしかった。
話も盛り上がり、来たときの緊張が嘘みたいだった。
「隆くん、沙知をよろしくお願いします」
お父さんは深々と頭を下げてくれた。
いやいや・・・今すぐ結婚するみたいになってるし・・・。
でも・・・いつか、さっちゃんと結婚できたらいいなぁ。
そう思ってるのは、俺だけかな?
家に帰ってから、寝る前に、さっちゃんから電話があった。
さっちゃんは、俺が高校の時にモテてたということを気にしていた。
『女の子にずいぶん人気があったんやね』
なんか刺がある言い方をするな・・・。
「まぁね」
俺は、わざと否定しなかった。
『私なんかよりいい子いてたんじゃない?』
妬いてるよ・・・。
かわいいよ。あぁ、いますぐ抱きしめたいよ。
「さっちゃんよりいい子なんていなかったよ」
『ほんまに?』
「当たり前やん」
だから3年も待ったんやで。
勝ち目があるかないかもわからないのに、3年も待ったんやで?我ながら我慢強いと思うもん。
『ありがとう』
照れた様子で言ってくれた。そばにいたら確実に押し倒してるな・・・。
明日、うちに来ることで緊張していたから励まして、眠りについた。