スタートライン~私と先生と彼~【完結】
あの日から三島は、沙知に『好き』とか『付き合って』と言わなくなったらしい。
教育実習はおわったけど、相変わらず、試験勉強などで忙しそう。
最近は、デートもしていない。
1週間近く、沙知とキスさえしてなかったら、禁断症状が出そうや・・・。
なんて考えながら大学を後にしようとしていた。
「元気ないですね」
そうそう、彼女とキスしてないからね・・・って誰やねん!!一連のノリつっこみを心の中でしながら振り返ると、目の前にいた人物に驚いた。
三島だ!
「お前、何してる!」
俺が怪訝な表情をしているのにも気にも留めず、三島は話し始めた。
「先生の彼氏さんに話を聞いてもらおうと思って」
「はぁ?」
こいつ何を企んでる?裏がありそうな笑顔から逃げたかったが、逃げたらこいつに負けてしまうような気がして、ついていくことにした。
とりあえず、大学の近くのカフェに入った。
「3ヶ月振りくらいですね」
なんでお前が俺の前にいるんだ?
「あぁ」
「先生は元気ですか?」
やっぱり聞きたいのは、沙知のことかよ。
「元気にしてるよ」
最近、会ってないけど。
「よかった」
俺にあった時から強張っていた顔が、少し緩むのがわかった。
こいつ、まだ沙知の事が好きなんやな・・・ってか俺はなんでこいつと話してる!?
それになんで大学前で待ち伏せしてたんや?
そもそもなんで通ってる大学を知ってるねん!
ストーカーかよ!
「で、何?話って」
どっしりと構えて、敵に向かって落ち着いた口調で言った。
「なんで、先生は振り向いてくれないんやろうって・・・」
少し俯きながらいう三島は、真剣だったが、俺は納得はいかなかった。
「はぁ?それって、俺にする話じゃないやん」
こいつはアホか!恋敵にそんな話するか?
「まぁ、そうなんですけど。僕、今までフラれたことなくって」
おいおい、自慢ですか?
「先生にフラれたのが初めてなんです。自分から告白したのも先生が初めて。それまでは、告白される立場やったから」
けっ、自慢かよ。どんどん眉間にシワが寄るのがわかる。
「なぁ、自慢しに来たわけ?」
「自慢に聞こえました?すみません」
全然、悪いと思ってないやろ!
「・・・・・・」
俺は目の前にいる自信満々男の言葉に何も言えなかった。落ち着く為に苦いコーヒーを飲む。