スタートライン~私と先生と彼~【完結】


「で、何?話って」

「僕、何気にへこんでるんですよ」


へこんでる?どこが?


俺は腕を組み、目の前の男を睨んでいた。


「片想いって辛いですね・・・」


片想い・・・辛いってもんじゃないぞ。


「・・・・・・」

「先輩の彼氏さんは・・・」

「俺、笠野っていうから」


「笠野さんは・・・こんな辛い想いを3年もしていたんですね」


ぽつりぽつりと言うその表情は悲しそうで、俺はつい同情しそうになってしまう。


「そうやな・・・」


「なんで、諦めなかったんですか??」


それは決まってる。


「あのまま諦めていたら、いつまでも彼女のことを忘れられないと思ったからかな。というか、彼女以上に好きになれる子がいなかったからな」


三島は、俺の話を真剣に聞いてくれている。こいつも、きっと沙知を本気で好きになったのだろう。


「それは、わかるかも。じゃあ、笠野さんが先生の元カレから奪ったわけや。」


何かを掴んだような表情をしながら言ったが、それは間違っていた。


「違うよ」

「えっ?違うの?」


俺の言葉に三島は目を真ん丸にしていた。


「俺は、ひたすら待っただけ」


そう、気持ちも伝えずに待っていただけ。


「待つ?別れるかわからない先生を?」

「まぁ、正確には沙知は付き合ってなかったけどな・・・」


そう・・・思い出すだけで胸が痛くなる。

「・・・先生も片想い?」

「いや、片想いじゃないよ・・・両想いやった」


俺はなんでここまで話してるんや?


「じゃあ、なんで?」

「それ以上は言えない・・・」

「・・・・・・」


三島は無理に聞こうとはしなかった。

こいつ意外といい奴かもなと一瞬思った。

「だから、俺は沙知の気持ちが変わるまで待ったんや」


「よく我慢できましたね」

「まぁな、自分でもすごいと思うよ。でも手に入れたら、最高やで」


俺の自慢。それは沙知。


「うらやましい・・・」


「はははっ」


悔しそうにしている三島を前に、俺は自慢げに笑った。

「俺、あなたにに勝てないような気がしてきた」


おっ、やっとか!そうだろ?勝てるわけないって。


「まぁ、三島くんは若いからこれからいい子を見つけられるよ」

「あー腹立つけど、かっこいいです」


顔を歪めながら言う三島は、本当に悔しそうだった。

でも、どこかすっきりとした表情になっていた。


「だろ?」

「うわ〜腹立つ!」


数十分前までは、敵同士だった俺らは、いつの間にか仲間になっていた。


「じゃあ、また何かあったら連絡しろ」


「はぁい」

そう言って俺らは別れた。三島はこの初恋を終わりにして次の恋を探すような気がした。




< 327 / 353 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop