スタートライン~私と先生と彼~【完結】
「原田・・・」
俺は目の前の彼女に言葉を失っていた。
「先生・・・。おはようございます」
原田は、俺の姿を目の前にすると、控えめに挨拶をしてくれた。
「おはよう」
そうだ。原田も同じ沿線だったから乗ってくるのは当たり前だ。
電車に乗り込んだ俺たちは、原田がドアに背を向けて立ち、俺はドアの方を向いて立ち、ドアに右手をついている。
俺達の間には、もう一人入れるくらいのスペースがある。俺はこの距離を保とうと、右腕に力を入れていた。
「いつもこんな混んでるのか?」
原田を見下ろすように問い掛けると、彼女は少し恥ずかしそうに答えた。
「はい。先生はいつも車ですよね?」
俺の目を見つめて、言う彼女の瞳に吸い込まれそうになっていた。
「あぁ、今日、仕事が終わってから飲み会あるから・・・」
「そうなんや〜」
原田の顔をこんなに近距離で見るのは初めてだったので、かなりドキドキしてる。
結構、背が高いんだな・・・。
彼女の頭は、180cmを越える俺の鼻くらいまである。
それにしても、綺麗な肌してるな・・・。
すっげーまつげ長いし
肩までのさらさらの髪
人形みたいだなぁ。
特に会話もないまま、もうすぐ次の駅に着くという頃、突然、急ブレーキがかかった。
急ブレーキがかかることで、後ろから押される形になった。それまで全神経を集中させてきた俺の右手は、脆くも敗れ、俺は原田と有り得ないくらい原田と密着することになった。