♀ my prince ♂
―そして。
いよいよオリエンテーション当日。
一学年全員が体育館に集められ司会の人が壇上に上がり、
その中央に設置してあるマイクを使って喋り始めた。
『…それでは、ルール説明をします。
各チェックポイントに設置してあるスタンプを皆さんに配布しました、
スタンプカードに押して頂くだけの簡単なものとなっております。』
え、そんなのでいいの?簡単すぎない…?そのルール…。
『なお、各チェックポイントの場所はスタンプカードの裏に書いてあります』
そういえば…書いてあったかも…。
『そして移動中は必ず、手を繋いで下さい』
えぇっ…!?何そのルール…。
じゃあ私…玲央くんと手を繋がなきゃいけないってこと…??
そんなルールを聞かされて鼓動が早くなる。
別に…手を繋ぐのが嫌とかじゃない…。
男の子と手を繋いだことなんてないから…ただただ動揺しているだけ…。
『それと…1時間以内でここに戻って来れたペアには記念品を差し上げますので頑張って下さい』
記念品って何だろう…?って、考える暇もないほど…
ルールの“手を繋ぐ”ってことに私の意識は向いている。
『…では、スタートして下さーい』
そんな声すら私の耳には届いてない。
だから周りの人たちが、どんどんいなくなっていってるってことに…
私は全然気づかなかったんだ…―。
そんな時―…、
「……未亜ちゃん…?大丈夫??」
「へっ…!?!?」
玲央くんに顔を覗きこまれて私はやっと我に返った。
「じゃあ…俺らも行く?」
「ぇ…うんッ」
私がそう返事をすると、
「っ…!!」
玲央くんはなんの躊躇いもなく私の手を握った。