いつか見つけてね2
そう言って私のことを見た。


「岳斗が女性と一緒にいてこんなに笑ってるの初めて見たよ。


いつもむすーっとして表情を出さないやつだからな。


お嬢さんには気を許しているんだろう。」


「ああ、俺の大事な人だからな。」

そういった岳斗君はいつもの優しい顔をしている。


そしてアンディ氏もリラックスしたみたいにいろいろ話を聞かせてもらった。


岳斗君はその間も自分のプロジェクトに没頭していて私とアンディ氏がチラッと見ても気付かないぐらい。



「本当にあいつはよくできるんだ。

不器用で勘違いされやすいんだけどな。

いつも光信と一緒に俺のところに来てくれていたんだ。」


「エッ、光信って?

あのっ。」



その時胸が急にドキドキしてきた。


「水友グループの倅だよ。」

私の愛する人話が出てきたから。




「あれ、大丈夫かい?少し顔が赤いみたいだけど。」

というと岳斗君が気付いて


「お前、クソ親父何言ったんだよ?

エミが赤くなってるじゃないか。」


彼はすぐに私の変化に気付くとアンディ氏を睨みつける。



「いや、俺は何も言ってない。セクハラなんてするもんか。

ただ、お前と光信の話をしただけだよ。」


すると岳斗君が切なそうに


「ああ、兄貴のフィアンセだし。」とポツリとつぶやいた。



「なんだと?

光信には綺麗な秘書の彼女がいたぞ。


俺が日本にいる時に彼女と会いに来てくれて。」


私の胸が張り裂けそうになって


「あのっ、しっ失礼しました。さようなら」


というとそのまま立ち上がりを部屋を出た。



やっぱり、私と光信では無理なんだろうか、と玄関口へ向かっていると急に腕を掴まれた。
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