たゆたえども沈まず




久喜が学校に居たときのことを考えると、胸がぎゅーっとする。

そして今の状況に泣きそうにもなる。

「大きい溜息だね」

笑いを含んだ声でプリンス先輩が腕を組む。

どうやら私は大きい溜息を吐いていたらしい。

ステージ裏は埃っぽくて、時折眠っている部長がケホケホと咳をする。

「あれからクキに会った?」

単語帳から目を離して、先輩が尋ねる。
私は首を振った。

「俺が聞いた話だと遊び回ってるって」

「……そうですか」

それはいつものことだけれど、私は勝手にいじけていく。



< 79 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop