たゆたえども沈まず

私だって、久喜のことを思いながら普通に学校に通っている。

「遅くなりました!」

ステージ裏に顔を見せたのは蘭子。

「おはよう、化学のワーク終わった?」

「終わってないです! 何で知ってるんですか!」

「のんちゃん情報」

蘭子がこっちを睨んでくる。本当のことだし、今も化学のワークを持っているし。

「私ちょっと抜けます。式前には戻ってきますね」

その視線から逃げるようにそろりとステージから降りた。
なんとなく、あの場所へ向かってみる。

久喜がピアスを埋めたところ。

窓を開けて地面を見た。


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