めぐりあわせ





岳は、隣の寝室から起きて来た。



「なんか、羽織る物ないの?」



「あ…クローゼットにあったと思う」




「私、取って来るよ。寝室のクローゼット?」



「うん」



「あ〜、ジャージでいいかな?」



結構綺麗な、あまり物がない寝室だった。



クローゼットからジャージを取り出し、岳に渡した。



「ありがとう…」



「いいえ」



「いただきます…うっうま!!」



「そう?ありがとう」



岳は、お粥を完食した。



「本当に熱あるのかな?」



「食欲はあるみたい…」



「薬と栄養ドリンクね」



「何から何までありがとう…」



「今度、倍にして返してもらうよ」



「怖いな…」



「そうだ、冷却枕も持って来たから!」



「マジで?重かっただろ?ごめん…」



「睡眠も大切だから!寝て!タオル借りるね」



冷却枕を持って、岳を寝室に誘導した。



私は。ベッドの端に座って、体温計を、岳に渡した。



「もう一回、熱測ろう」



「…うん」



ピピピッ ピピピッ ピピピッ



「う〜ん…38.8度…寝たら、マシになるかな?」



「うん。そうかな…」



「じゃっ、私帰るね」



立ち上がろうとした時、少し起き上がった岳に、手を掴まれた。



「もう少しいて…」



弱々しい声を聞いて、まっすぐ岳の目を見た。



すると岳は、私を後ろから引き寄せ抱きしめた。



私の心臓はもう壊れてしまいそうなほど、ドキドキしてる。



岳のドキドキも伝わってくる。



「岳…熱いよ…やっぱり熱あるね」



「そう?でも、暫くこうさせて…」



暫く抱きしめられ、岳が腕を緩めた。



「ありがとう…」



「いいよ。もう少しいるから、寝て」



岳が寝てから、洗い物を済ませた。



もう一度寝室に行って、ベッドの脇に座った。



岳の寝顔が愛おしい。



すると、いつの間にかウトウトしてしまい、座ったまま寝てしまった。





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