呉服屋の若旦那に恋しました


幼いころについた見え見えの嘘だけど、私は、その嘘で志貴をずっと縛り付けてしまった様な気がしてる。


私が言ったことを、ずっと、ずっとずっと忠実に守って、そばにいてくれる志貴。

それは、私があんな嘘をついてしまったから。


志貴が優しくしてくれる度に、私は桜ちゃんに申し訳ない気持ちになった。


ごめんね、桜ちゃん。

ごめんね、志貴。



私はちっとも、特別な子なんかじゃないのに。

この志貴の優しさは、本当は桜ちゃんに注がれるべき優しさだったのに。



志貴の悲しい顔を見たくなくて、

志貴に生きる理由を持って欲しくて、

私は大嘘をついて、彼を縛ったんだ。


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