ラブレター2

冷たい雨

例えばの話。

愛に形があるなら、どんな形だと思う?

ハート型。なんて、よく言うけれど、きっと…。

「明日は、学校っすか?」

「うん。学校。嫌。」

あいが、好きな歌手の歌が、耳に入ってくる。

「仲の良い人達が喧嘩して、それも嫌。勉強も、嫌。」

優しいあい。と決めつけていたから、僕からは、優しい言葉が出なくなっていた。

「まぁ、頑張れ。それより、今日何しようか?」

特等席に座り、財布の見た目に似合わない、小銭達を眺めてた。

「ゆうくんが決めて。」

「何にしようか?」

「だから、ゆうくんが決めて!!ってば!!」

あいの横顔を見ても、すぐに追い越される街灯のせいで、上手く、その表情を見れない。

「そんなに、怒らなくても。」

運転中なのに、あいは、正面から一瞬だけ目を離して、

「怒ってないよ。」

と、笑って、また遠くの青信号へと、目を向ける。

「なら、ボーリング行こうか?」

なんて、笑顔で問掛けるあいが、結局は、目的地を決める。

優柔不断な自分が、また、嫌いになる。

「うん。行こう、行こう。」

バス停を追い越し、コンビニを通り過ぎ、田舎のボーリング場へ、車が入っていく。

車を、バックで止めるのが苦手なあいは、正面から突っ込み、スピードをゼロにする。

そんな、あいが笑いながら、よし。と言うから、可愛いな。なんて思ってしまう。
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