殺戮都市
「う、嘘だろ……何でお前が……」


人を殺したという狂気が、スーッと身体から引く感覚に包まれて、俺は目の前の女に問い掛けていた。


こいつがここにいるはずがない。


その思いが強くて、状況を理解出来なくなっていた。















「どういう事だよ……理沙!」

















そこにいたのは、俺の彼女の理沙だった。


見間違いかとも思ったけど、見間違えるはずがない。


どうして東軍に……いや、どうしてこの街にいるんだと、日本刀を握り締めたまま必死に考えた。


「し、真治……なの?どうして真治が……わけが分からない!」


お互いに、再会を喜ぶわけでもなく、ただ混乱するだけ。


百歩譲って、俺がこの街に来たんだから、理沙がいるのはあり得ない事じゃない。


だけど……問題なのは理沙が東軍で、俺が南軍だという事だ。


「お、お前!何で東軍にいるんだよ!!俺は南軍だから敵になっただろ!!」


「そんな事言われたって分からないよ!!私だって何が何だか……真治がここにいるなんて知らないよ!」


理沙が東軍……敵……。


俺がそう認識しなくても、他の南軍のやつらはそう認識するだろう。


そして、捕らえられれば、何をされるか分からないのだ。
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