殺戮都市
木製の鞘なのに……鉄パイプが当たっても割れもしていないなんて。


思わず見入ってしまった俺の脇腹に、激しい衝撃が走る。


地面を叩いたと思った鉄パイプが、すぐに脇腹を強打したのだ。


「ぐっ!!あああああ……」


そんなに力が入っていたわけじゃないのに……息が出来ない。


痛みが脇腹から全身を駆け巡って、そのショックのおかげか震えが和らいだ。


「早く死ね!ガキが!!」


俺の眼前で振り上げられた鉄パイプ。


また日本刀を掲げても間に合わないかもしれない。


このままじゃ……人間に殺される!!













「う、うわああああああああっ!!」














もう死ぬのは嫌だ!


あんな痛みも苦しみも、二度と味わいたくない!!


強くそう思った俺は、鉄パイプが振り下ろされるより先に、男に身体を預けるようにしてぶつかった。


肩と頭に感じる、人の感覚。


予期せぬ俺の行動に、二、三歩後退して鉄パイプを構え直す男。


もう何だって良い……脅して逃げてくれるなら、何でもしないと損だ。


ゴクリと唾を飲み込み、俺はまだ震えるその手で日本刀を鞘からゆっくりと引き抜いた。
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