殺戮都市
もう、突き刺すような殺意は感じない。


それなら、日本刀を抜いて怪物を殺す事だって出来るかもしれないけど……。


建物の中に入った俺を、怪物は寂しそうに見ていたのだ。


クーンクーンと、まるで犬のような甘えた声を出して。


「なんだよそれ……お願いだから食べさせてくださいっての?冗談じゃない」


だけど気になる……今までの怪物達とは行動が違うから。


弱い個体は弱い個体で、攻める方法を変えてるとでも言うのだろうか?


外で俺を待っている怪物からは……なんと言うか、殺意を感じない。


いや、それが作戦なのだろう。


そうやって俺を油断させてガブリと行こうとしているんだ。


怪物だけど、人間としての知能が残っているに違いない。


襲って来るつもりがないやつまで相手にしているんだ暇はないけど、このまま外にいられたんじゃ、ここから出る事も出来ない。


「くそっ!一か八か、また屋上から行くか?」


そんな独り言を呟いて、階段に目をやり、俺は歩き出した。


薄暗い階段、それをゆっくりと上り屋上へ。


慌てて入ったから確認してなかったけど、どうやらこのビルは三階建てのアパートのようだった。
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