殺戮都市
屋上に出て見ると、俺は天を見上げる事しか出来なかった。


隣接するビルはここよりも高く、裏手には小さな公園のような広場が見えるけど、日本刀なしで飛び降りればただじゃ済まない。


試しにと日本刀を抜いてみると……まだ俺の手を引くように、キングのあるビルに向かおうとする。


これは……ダメだ。


強烈な殺気に当てられたせいか、狩野がが暴れ出しているように感じる。


狩野の事だ、身体を乗っ取る為に、俺をわざと殺そうとする可能性だってある。


そして、死にかけた俺から身体を奪うんだ。


「そうはさせるかよ」


日本刀を放して、大きな溜め息を吐いた俺は、再び一階へと戻った。


追われていて不気味に感じたけど、改めて考えてみれば、襲って来るなら棍で殴り飛ばせば良いだけだ。


怪物と狩野……どちらにやられるにしても、俺にとっては死と同じ意味だ。


それなら、怪物と戦う方がまだ可能性があるってもんだ。


階段を下りながらそんな事を考えて、戻って来た玄関。


怪物の姿は……そこにはなかった。


棍を手に、戦う気満々で下りて来た俺がバカみたいに思える。


まあ、中にいたら怪物は入って来れないんだし、諦めたという事だろう。
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