殺戮都市
俺を見張っていないというなら放っておいても構わないんだけど、今の所そうだと断定出来る材料がない。


かと言って、棍では逃げる怪物を追ったとしても、追い付けないかもしれない。


怪物が隙を見せるか、諦めていなくなるまで、不本意だけど放置するしかない。


今ここで日本刀を抜いた所で、敵意を感じないこの怪物には向かって行かないだろうから。


「クゥゥゥン……」


人懐っこい怪物なんていてたまるか。


「騙されないからな。お前が偵察役でも、建物の中に逃げれば追って来れないだろ」


ビルの陰から声を出す怪物に棍の先端を向けて、負け惜しみのような言葉を吐き捨てた俺は、当初の目的の通り、光の壁に向かって歩き出した。


次の戦闘が始まったら、すぐにでも北軍に入れるように、光の壁付近にいなければならない。


しばらく歩いて、ようやく殺気を感じるエリアから抜ける事が出来た。


日本刀は使えるだろうけれど、ただ、ストーカーのようにコソコソと付いて来るだけの怪物を仕留めようとは思わなかった。


そんな時間があるなら、さっさと移動を済ませたかったから。


いざとなれば、また日本刀を抜いてビルの上を移動すれば良いのだから。
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