殺戮都市
「本当に良いの?腕が上がらないならさ、返り血とか流せないかもしれないよ?ついでだから流してあげるのに」


曇りガラスのパーテーションの向こう。


肌色の人影とバスタオルが艶かしく動く。


思わずその姿に見惚れて、返事をするのも忘れてしまう。


「あれ?真治君?いる?」


ひょいと顔を出した奈央さんと目が合い、ドキッとして慌てて目を逸らした。


濡れた髪が……なんともエロい雰囲気を醸し出している。


「あー……そういう事。何考えてるんだか。そんな意味で言ったわけじゃないんだけどね」


なんだか……心を見透かされたみたいで恥ずかしくなった。


だって仕方ないじゃないか。


こんな場所で、シャワーを浴びている女の人に一緒に入る?なんて言われたらさ。


誰だって勘違いするし、下手すりゃ襲いかねないだろ。


「な、何でこんな所に入ったんですか……何か意味があっての事ですよね?」


スケベ心を見抜かれて、少しでも話を逸らそうと、俺は奈央さんに尋ねた。


戦闘終了時間が迫って、引き返す東軍の人達から身を隠す為だという事は分かる。


だったら、何もこんな場所じゃなくても良いはずだろ?
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