殺戮都市
一時間後にバベルの塔に突入する。


その事を、遠く離れたおっさんや隼人に伝えて、俺達は店の外に出た。


そこに集まっていた人達が……まるで敵でも見るかのような視線を俺に向ける。













「おい……あれ、南軍のやつじゃねえか?」


「殺すんだろ?殺すんだよな?」















恵梨香さんや中川に向けられる視線とは明らかに違う。


俺を完全に敵視していて……軽く突いただけで暴動が起きそうな気配が漂っている。











「……大山田に呼ばれて来てみれば。やっぱりいましたね」









俺が合図すれば、一斉にこいつらはお前を襲うぞと言わんばかりの態度で、俺を指差して笑う。


「ちょっ……き、木部ちゃん!?何よあなた、手伝いに来てくれたんじゃないの!?」


俺をグイッと押し退けて、慌てて木部に駆け寄る大山田。


「彼がいると知っていたら、俺が来ないと思ったから言わなかったんですよね?」


「そ、それは……」


俺がいるって言わなかったのかよ……いや俺だけじゃない。


バベルの塔に行くのに、南軍の人間もタイミングを合わせて進行するんだぞ?
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