殺戮都市
それは、最後の希望。


旧西軍の方に入り口がなければ、結局俺達が団結したのは無意味になってしまう。


そもそも、ここに何かがあるというのは、俺達の想像にすぎなかったわけで……。


大切な人を失って、その悲しみから逃げる為に作り上げた、希望という名の虚像。


それがこのバベルの塔だったのかもしれない。


なんて考えるのはまだ早い。


旧西軍に希望が残されてるなら、歩みを止めるべきじゃない。


絶望するのは、全ての希望が潰えてからで良いのだから。


「皆、どこにいるんだよ」


トボトボと、バベルの塔の外周をなぞるように西側に向かって歩く。


本当なら走るべきなんだろうけど、もしも西側に入り口がなかったらと思うと……急いでその答えを出したくなかった。


変な緊張が俺を襲う。


激しいドキドキはない。


だけど、ジワジワと胸を締め付けるような漠然とした不安。


そしてその答えは……不意に前方からやって来たのだ。


遠くに見える人影。


あの走り方は……恵梨香さん?


木部の呼び掛けに応えてこっちに来てくれたのだろうか。


何にしても、一人で考えるより誰かと相談したかったからありがたかった。
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