殺戮都市
「少年、ここにいたか。探したぞ」


お互いに駆け寄り、恵梨香さんがメットのシールドを上げて俺に声を掛けた。


「すみません、南軍の方まで行っていたので。それより、このバベルの塔に入る入り口がないんですよ。恵梨香さん西側から来ましたよね?入り口は見付かりました?」


「いや……ないのか?てっきりどこかにあるとばかり思っていたんだが」


これだよ……恵梨香さんってこういう所があるんだよ。


きっぱり、強く言い切るから大丈夫なんだろうなって周囲に思わせておいて、実は無計画とか。


今まではそれでもなんとかなっていたけど、今回ばかりは「ダメでした」じゃ済まされない。


北軍も南軍も巻き込んだ、大規模な共闘なのだから。


「ど、どうするんですか!?入り口がないんじゃ入れないじゃないですか!」


「そう怒るな少年。何か手はあるはず……あ、ほら、あんな所に窓がある。あそこから入れば……」


この人マジか!?


本気でそんな事を言ってるのか!?


「どうやってあの高さまで飛ぶんですか!!絶対に無理でしょ!」


いや、この人は本気だ。


窓を見上げて、急勾配のバベルの塔の外壁を登ろうと足を掛けたけど、ツルリと滑って首を傾げたのだ。
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