殺戮都市
「そんなもんかね?まあ、この街自体が非現実的だからな。不思議な力で構築されていると思っておくか」


考えても仕方がない。


そんな感じの、諦めにも似た言葉を発し、柱を見上げた中川。


どこからか風が吹いているのか、上の方から音が聞こえる。


うるさいと思うような音ではないけれど、気になり出したら止まらない。


もしかするとこの上にある何かが発している音じゃないかとか、この街を支配する何者かがやっぱりいるんじゃないかとか、色んな想像をしてしまうのだ。


「ここの上に、俺達が求める物が本当にあるんですかね。全ての人達が、皆元の世界に戻れるなんて都合の良い物が」


いざ、目的地を目の前にすると、本当にそれが可能なのか疑問に思ってしまう。


それは俺の悪い癖なのか、人として当たり前に思う事なのかは分からないけど。


「それだけを信じてここまで来たんだ。嫌ならずっとこの街で生きるか、少年なら北軍のキングを破壊するしかないが……悪いが、もしもそうなったら私は全力で戦うぞ」


「そうですよね……そうならない事を祈ります。俺は恵梨香さんとも中川とも戦いたくはないですから」


そんな事を話しながら10分。


とうとうおっさん達が姿を見せる事はなかった。
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