殺戮都市
「まずい!武器を出せ!」


恵梨香さんの声より早く、日本刀を抜いた俺は、壁際まで飛び退いた。


細長い舌をチロチロと出し入れし、その大きな首を俺達に向けている。


中央にある巨大な柱にその長い柱を巻き付けて、上から下りて来たのだろう。


身体の長さだけなら、ルークをはるかに上回る。


「こんなやつどうすりゃ良いんだよ!階段から離れてるから攻撃出来ねぇぞ!」


中川が言うように、この蛇のような怪物は中央の柱に身体を巻き付けていて、そこまでは距離がある。


俺なら飛び掛かって、攻撃した後に階下に飛び移る事も可能だとは思うけど……中川ではそれも出来ないだろう。


「言っていても仕方がないだろう!自分が出来る事をやれ!」


攻撃手段が限られてるのは皆同じ。


ここに来て、想定外の敵に遭遇してしまった事が不幸としか言えないのだ。


こいつを無視して階段を上る……なんて、都合の良い事が出来るはずがない。


その視線は確実に俺達を捉えて、襲い掛かるタイミングを待っている様子。


俺達が動かないと、こいつも動かないつもりか。


だとするとやり辛い。


飛び掛かっても、巨大な口で丸呑みにされるイメージしか湧かない。
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