鎖恋-僕たちクズですー
「ねえ・・アンタ・・年末は帰ってくるの~?」

電話の相手は母親だった。

「うーん・・たぶん無理かも」僕はめんどくさそうにそう答えた。

「そう・・・」母は呆れたような声だったが・・

「あのさ・・真奈ちゃんが家出たんだって。」

一瞬ドキっとした。

「そ・・・そう・・」僕は冷静にそう答えるも・・動揺していた。

まさか・・僕のところに来ているなんて言えない。

「真奈のお母さんは何だって?」

「うん・・ちょっと落ち込んでたよ。さすがに・・」

そうだよな。

僕はこの家出はただごとではないと思っている。

「真奈から連絡は?」

「東京のお友達の家に泊まってるだって。」

そうそう・・その友達って僕だ。

真奈の共犯者になってしまった僕。

実の親にも打ち明けられなかった。

「いつか帰そう・・絶対。」不思議と正義感に湧いていた。

このまま真奈が本当にどこか知らないヤツのところに行っても心配だ。

いっそう、僕の元で・・しっかり更生させなきゃ。

年末は帰らない予定だったけど

真奈にも相談してみるつもりだ。

「一度、家族と話さない?」

いい大人の家出の救済なんて嫌だったけど

真奈には気持ちよく戻ってほしい

それだけだった。

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