恋の神様はどこにいる?

「小町、綺麗な髪してるよな。ちょっと茶色い気もするけど、これ染めてるか?」

「う、うん」

男性に髪を触られるなんて美容院でくらい? 今まで付き合ってきた彼氏にも、こんな風に触られてまじまじと見られたことがないから、緊張からか鼓動が速くなるのを抑えられない。

「元は黒髪?」

今度はコクリと頷くと、顔を上げて志貴を見た。

「黒髪にした方がいい?」

ゆっくり目線を動かすと、志貴の驚いたような目とぶつかる。

何を驚いているのかわからない私は、そのまま志貴を見つめ続けていたんだけど……。

目を丸くした志貴は少しずつ顔を赤くしていき、最終的には耳たぶまで赤く染めて俯いてしまった。

「志貴?」

何が志貴をそうさせているのかわからなくて声を掛けてみたけれど、直ぐに返事はなくて。

もう一度「志貴?」と呼べば、かすかな声が耳に届いた。

「馬鹿か、おまえは」

「え?」

「おまえは馬鹿かって言ったんだよ!! そんな顔してっと押し……」

「押し?」

「あああぁーもう!! 俺が紳士的な男だったのを感謝すんだな。この無自覚女が!!」

「無自覚女?」

志貴が紳士で、私が無自覚女ってどういうこと?

これって私、馬鹿にされてる?

いつも馬鹿馬鹿言いたい放題言ってくれちゃって。その上無自覚女だなんて、言って良いことと悪いことがあるってわからないの?

腹ただしくて志貴の顔を睨みつけても、逆に睨み返されてしまった。



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