恋の神様はどこにいる?
「おはようございます。今日から、よろしくお願いします」
うぅ、緊張する……。
土曜日も仕事を手伝ったし少しは慣れたつもりでいたけれど、やっぱり普通の会社とは違って雰囲気が厳かというか空気が凛としているというか。心が引き締まる、そんな気分だ。
「おはよう、小町ちゃん。こちらこそ、今日からよろしくお願いします。何かわからないことがあったら、いつでも僕に……」
「小町の面倒は俺が見るって言ってんだろ。兄貴は自分の仕事に専念しろよ」
「はいはい。でもね、いつも志貴がそばにいるってわけにはいかないから。困ったらどの神職でもいいから、ちゃんと聞いて行動してね」
「はい。ありがとうございます」
相川さんや他の神職の皆さんが千里さんの言葉に頷くのを見て、やっと緊張して硬くなっていた身体が緩和する。
「小町、さっさと着替えてこい。すぐに掃除始めるぞ」
「はい。じゃあ失礼します」
志貴に声を掛けられて、一気にテンションが上がる。急いで服を着替えると、すぐに志貴の元へと向かった。
とは言っても、巫女の作法として走るのはご法度で。あくまでも静かに穏やかに、ゆっくり身体を進めていかなければいけない。大声を出したり大笑いをするのも駄目。志貴や千里さん相手だと、実はこれが一番難しかったりするから大変。