愛情の鎖

「ん……っ」


気付くとそれは優しいキスに変わっていた。

寝室にお互いの息づかいだけが鼓膜に響く。

コウさんのキスは終わらない。

もうミネラルウォーターの存在はなく、変わりにお互いの唾液だけが乾いた喉を熱く濡らしていくようで、

何度も啄むように重ねられて、私の背中はいつの間にかふかふかのベッドに倒されていた。


「…ダメ…、かぜ、うつっちゃ……」

「移せよ。俺に移せばいい」


抵抗することはできなかった。

コウさんの両手が私の手を顔の両サイドで固定する。

だけどとても柔らかい力加減で。それが心地よくて、次第に感情が高まった私はポロリと涙をこぼしてしまう。


「…っ……」


どうしてだろう…

安心するのに心が不安定だ。

ただ泣けてくる。このまま目の前の温もりにしがみついてしまいたい。

だけどそれに気づいたコウさんがすぐに顔を離し、私の涙をそっと指ですくう。


「悪かったな」

「えっ……」

「俺がついてるのにも関わらず、怖い思いさせて」


そう呟かれた瞬間、コウさんの辛そうな顔が見えた。

涙でぼやけて見えたけど、とても自分を責めているようだった。
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