神聖魔法団【下】
「自分の命を大事にしてほしい。」
振り向いてそう言った。
「黎奈が帰ってきたとしても涯たちがいなかったら意味がない。
また辛い思いするだけだ。
だからさ、自分の命を第一に考えてよ。
生きてよ」
最後の言葉は無意識に出た言葉だった。
きっと黎奈があんなことになったから出た言葉なんだろう。
涯がゆっくり近づいてくる。
「わかった」
それだけ言って俺の頭に手を置いた。
何を思ったのか分からない。
だけど俺にはその言葉が嬉しかった。
「涯ー?黎兎ー?どうした?」
遠くから風雅の声が聞こえる。
「なんでもない!」
そう返し涯と風雅たちのところに駆け寄った。
「ありがとな」
そう聞こえた気がしたけど聞こえないふりをした。
下駄箱に着き、校門まで歩く。
「黎兎だけ正反対なのか・・・」
俺の家だけ皆とは正反対のところにあるため、ここでお別れだ。
「まぁ、明日会えるしいいだろ。
じゃあな!」
そう言って手を振ると振り返してくれた。
「ばいばいー!」
「またねー!!」
「気をつけろよ!」
皆の言葉を聞きながら家を目指して歩き始めた。