妄想世界に屁理屈を。
「ミサキくんっ…」
ミサキくんの胸元に顔を寄せる。
甘えるような姿は、兄弟みたいだった。
「また、参ります。黒庵さま。今度は――きちんと、お嬢様を連れて」
「アカネは…」
「この方に何を言っても無駄です。吾が代役を勤めます」
きっぱりといい放つ。
代役とは、異界での守護だろう。
従者さしからぬ言葉で、ちょっとびびった俺。
「もう来ないで下さい。だあくんは、私のなんですから」
後ろから女の声が聞こえる。
…ふざけるな
黒庵さんは、昔から…
その言葉を飲み込んだのは、アカネのためだった。
これ以上アカネを刺激したら、壊れそうな気がしたから。