妄想世界に屁理屈を。
ポスンッと砂浜の上に落ちる。
「…っ…」
いつもながら、どこら辺から落ちてるのか検討もつかない。
タイムマシンみたいに黒い穴でも開いてればわかりやすいんだけど。
「…スズ」
無言でスズがついてくる。
なんとなく頭を撫でてみると、ぷいっと顔も見せずに逃げた。
海にネックレスをかざすと、海がキラリと光る。
海に穴が開き、そこに向かって歩いていく。
相変わらずしょげたままのスズに胸がいたんだ。
洋風なドアをあけると、時代錯誤な玄関が広がった。
「…?な、なあ…スズ」
「…え?」
玄関に靴が二つ。
小さな子供靴と、真っ黒なピンヒール。裏が青い、派手なやつだ。
「…誰これ」
「まさかっ」
どたどたとスズが掛けていく。
俺も運動靴を脱いで追いかけた。