スイーツ男子、佐藤くん

「いらっしゃいませー！」

と大きな声で宣伝してみてもあまり人はやって来ない。理由はそう、この海は海の家の激戦区なのだ。いろいろな海の家の並ぶこの場所、普通の正攻法じゃきっと人は来ないはず…。

悩みに悩んだ佐藤先輩が出した案は、志優先輩と佐藤くんを呼び込みにだして、女性客を連れてくる、ということだった。そして何故か私も駆り出された。

佐藤くんと志優先輩が砂浜を歩くだけで後ろから高い嬌声が聞こえてくる。…まぁ、顔がいいからなぁ。なんてぼんやり考えながら私も歩く。

前を向くと一人の女の人が佐藤くんに話しかけた。

「ねえねえ、君たち高校生？お姉さん達とあそぼーよ！」

そんな女の人に対し佐藤くんは「僕達バイト中なんです。でも、海の家来てくれたらお話出来るかもしれませんね。」と貼り付けた笑みを浮かべていた。逆に志優先輩は鬱陶しそうに払いのけるも、そんな態度が好きな人もいるらしい。

そんなこんなで、私たちのお店、白浜は女性客で溢れかえった。