愛させろよ。
「そうですけど」

「……ありがとう。ごめんなさい」

やってきた茉莉花先輩が、桐谷先輩の顔をのぞきこんだ。

「藍ちゃん? どうしたの?」

「吉永先輩……ソロ、相原だったの気づきましたか」

「もちろん気づいたわ。何があったの」

「…………」

口を閉ざした桐谷先輩に代わり、俺は言った。

「何か先輩が変になっちゃって、吹けなそうだったんで俺がやりました」

「変? 藍ちゃん、大丈夫なの?」

「すみませんでした」

桐谷先輩は消え入りそうな声で言って、楽器を抱きしめ直した。
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