愛させろよ。
そこに、堤先輩も来た。

「ソロ、相原くんがやってたな。桐谷さんには何の事故があったんだ?」

小柄な堤先輩は、桐谷先輩よりわずかに背が低かった。

「あの……すみませんでした」

桐谷先輩は深く頭を下げた。

「本番はきっと大丈夫です」

堤先輩は苦笑いした。

「きっと、じゃ困るんだよ? 桐谷さんの音を目当てに来る人だっていっぱいいるんだから」

「はい……」

「まあ、頑張れ。あ、相原くん、とっさにしては割とよかったよ。ナイス」

堤先輩は俺に向けて親指をつきだした。

茉莉花先輩も同じポーズをして笑った。

「うん、ナイス!」

そして、先輩方二人は行ってしまった。

俺と桐谷先輩だけが、残された。
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