ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】
「真犯人が初音を消しに来るって、本気で思ってんの?」

「多分、来ない」

「じゃあどうして……」

「来るかもしれない」

「何だよ? 何なんだよ、一体? お前、捜査する気あんのか? 侵入経路があそこだけなら、有り難いことにオートロックだ。住人以外は簡単に入れない」

「この時間、病院行ったって、夜勤帯だ。大して情報取れねーよ」

話をすり替えやがった。こいつと喋ってると、無性に苛々する。会話が成立しないのも原因の一つだけど、何を考えてるのか、何が言いたいのか、さっぱりわからなくてストレスが溜まる。


「行くとこないからここに居るって? 冗談じゃねーよ、俺は家に帰りたい」

「ご自由にどうぞ」

穏やかに言って、那智は嫌味なほど愛想よく微笑んだ。


「じゃあ、そうする」

ガチャッとドアを少しだけ開いて運転席を盗み見る。那智は素知らぬ顔で、上着のサイドポケットからスマホを取り出し、それに差し込んであるイヤホンを両耳に差し込んだ。

帰りたければ帰れ、本気でそう思っているようだ。


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