年下オトコたちの誘惑【完】
色々試してみた結果、親指と人差し指の二本で挟んだほうが、自分なりにしっくりきて、そのまま後ろにいる碧都を見た。

「それでいいのか?」
「た、多分…」
「ふぅ〜ん。じゃ、脇しめて」

ふぅ〜ん、って…。だって持ちやすい形って言ったじゃない‼︎

ちょっと拗ねたわたしに気付きもしない碧都は、後ろにピッタリとくっ付き、わたしの手首を持った。

「いいか?腕は動かすなよ。投げる時は手首で投げること」
「…こういうこと?」

投げる真似をして見せると、『あぁ、そんな感じ』と言った。

「ほら、投げてみ?」
「当たらなくても、笑わない?」
「バーカ、笑うわけねぇだろうが」

だって碧都笑いそうなんだもん…。バカにしそうっていうか…。

でもそんなこと思ってても仕方ないし…。とりあえず投げてみなきゃわかんないし。

外したら、その時に考えよう‼︎そう思い、碧都が言った通り手首だけ動かして投げてみた。

「お、刺さったじゃん」

わたしの投げたダーツは、床に落ちることなく勢いはないけど、トンッ‼︎とボードに刺さった。

「わ、碧都‼︎刺さったよ‼︎」
「俺の教え方が良かったからだな」
「違うよ、わたしの腕が良かったんだよ‼︎」

プッ、とお互い顔を見合わせて笑う。碧都とは、こんなにも年が離れてるのに、碧都がオトナなのか、わたしが子供なのか、素になれる。
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