年下オトコたちの誘惑【完】
どれくらい見つめ合ったんだろう。きっと時間にしてしまったら、10秒20秒の世界だと思う。

でも、その10秒20秒がとても長く感じて…。もちろん、イヤじゃなく。もっとこうしていたいと思うんだけど…。

喉がカラカラになって、胸がドキドキして、やっぱりわたし碧都が好きなんだって、再確認した。

そんな再確認したわたしに、碧都の顔がドンドン近付いてきてるのは、気のせい…ではない。

このままじゃ、わたしまた…。

「抵抗、しねぇのな」

クチビルが重なる数ミリで止めると、低い声で言われたその言葉に、自分を取り戻し手のひらを使って両手を、碧都の胸にあて押そうとした…んだけど。

「遅ぇよ」
「…んっ‼︎」

あっという間に奪われたクチビル。どんなにもがいても、手首と後頭部を碧都の手が支配してて、離れることができない。

好きなのは、認める。でも、やっぱりこれ以上前に進むことは怖いんだ。

強引な口づけだったけど、意外にも早くリップ音付きで離れていった碧都。

「そんな目で、見んなよ」

大きな手で自分の顔を隠すようにした碧都は、また色気があって、わたしの心拍数を上げる。

片膝を立て、その上に片肘を置いて。はぁぁ、と溜め息を吐く碧都。

そんな目、って。そっちがそうさせたくせに。
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