年下オトコたちの誘惑【完】
「……んっ」

あれ、ココどこだっけ…。薄っすら目を開けたら、見慣れない景色に何度か瞬きをする。

お部屋の中は真っ暗で、横向きになってたわたしは、グルンと反対向きになった。

「ひゃっ…‼︎」

ビ、ビックリしたぁ…‼︎碧都の顔がドアップだから…‼︎

でもこんな光景二度と見れないかもしれないし、見とこうかな。

長いまつ毛に、スーッとしてる鼻筋。眉も整ってて、寝てる姿もイケメンなんてズルイ。

耳たぶ、柔らかそう…。寝てるなら、少しくらい触ったってバレないよね…?

そっと手を伸ばす。あと、ちょっと…というところで突然、碧都の目がパチっと開いた。

「わっ…‼︎お、おはよ碧都」
「杏って、人の寝込み襲う趣味があったのな?知らなかった」
「ち、違うし‼︎そんな趣味ないし‼︎」

ど、どうしよ…。バクバクいってるよ…‼︎そんな趣味はないけど、触ろうとしたのは事実だし…。

「はいはい、分かったよ。杏は、そんな変な趣味はないもんな」
「信じてくれる…?」
「あぁ、信じてやるよ。でも、一つだけ」

一つだけ…?なんだろ…。不思議に思い碧都を見つめた。

「後ろから、抱きしめたい」
「えっ、わたし…?」
「他に誰かいんのか」
「い、いないけど…」

後ろから、なんて…。改めて言葉に出されると、恥ずかしいんだけど…。

チラッと碧都を見て、返事をする代わりに、さっきまでの体勢。

つまり、碧都に背中を向けて、いつくるかわからないその時を待った。
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