あの日あの時...あの場所で
ピンポーン
チャイムが鳴る。
リビングの掛け時計を見れば、約束の時刻の30分前。
いつもながら早い到着だ。
ドアフォンのモニターを覗けば、思ってた通りの人で。
「はい」
と出れば、
「着いた」
とぶっきらぼうに返ってくる。
「すぐ降りるね」
「ああ」
その声を聞き終えてモニターを消した。
ソファーに置いてあったポーチを袈裟懸けして、スマホをポケットに締まった。
「もう行くのか?」
ソファーで珈琲を飲んでた咲留がこちらを見る。
「うん、行ってくるね」
ワクワクし過ぎた私は朝早くから起きちゃったので、すっかり用意も整ってる。
「我が妹は今日も可愛いな?」
私を頭の先から足の先まで、点検するように見た咲留。
「そう?似合ってるかな?」
クルリとその場でターンした。
本日のファッションは、白いシホォンフリルのトップスに、薄い黄色のオーガンジーのフレアスカート。
女友達との初のお出掛けなので気合いを入れてみました。
「似合ってるけど、スカート短くねぇ?」
膝上15センチを咲留はおきに召さないらしい。
ほら、眉間のシワ寄りすぎだからね?
「こんなもんじゃない?」
「そうか?もう少し下がらねぇか?パンツ見られたらどうすんだよ」
いや、普通は下がりません。
「アンダーパンツも下に履いてるから大丈夫よ」
本当に、咲留はお父さんみたいだし。
「なら良いけど、本当に気を付けろよ?絶対に豪の側は離れんな?」
「うん、分かってるよ。」
昨日からちぃ君と二人で心配しすぎ。
「今日みたいな格好の瑠樹はいつもよりさらに可愛いから誘拐されねぇか、心配で堪らねぇ」
それ、外では言わないでよ?
身贔屓し過ぎだと笑われるからね。
「分かってるってば。豪が待ってるからもう行くね?」
何時までたっても話は終わらなさそうなので、ここらで切り上げる。
「おう、楽しんで来いよ」
と笑ってくれた咲留に手を振ってリビングを出た。
白い編み上げのサンダルを履いて、玄関を出た途端に暑さに包まれた。
うわぁ、今日も暑い。
胸元まである髪が熱を持つ。
括ってくれば良かったかな?と後悔しつつ、金色の髪を揺らしてエレベーターへと乗った。