臆病者の散歩道


絶対変に思われてるんだろうな…。
たぶん、何か変なモノでも食べたんだろう…くらい思われてる。

ま、いいや。
この調子ならツツミって奴の心配要らないだろうし。

最近部活やらなんやらで、ゆっくり柚と星も見れてなかったし。
久しぶりにいい時間だな。

ボーッとしていたら急に柚の声がした。

「大翔が嫌じゃなかったら…また、一緒にこうやってたくさん星みよーね。」

思わずパッと柚を見る。
正直、すげぇ嬉しい。
のに…

「仕方ねーな。」

と、呟くことしか出来ない素直じゃない俺。

「…クシュッ。」

星を見ていたら柚は防寒が足りなかったのかくしゃみをした。

「大丈夫か?」

「うん。大丈夫。」

どう見たって大丈夫って顔じゃないけどな。
唇青いし。
すぐ強がるのは柚のいつもの悪い癖だ。

「…帰るか?」

俺の言葉に柚は悩んでみせる。
まったく…。
遠足前とか、朝起きないし、部活で夜遅い時も言わないし…危なかったしくて見てられない。

「大丈夫。もう少し星見てたいし。」

そう言って柚は空を見る。

「でも、もっと暖かいカッコして来れば良かったなー。」

柚が空に息を吐くと、10月とはいえ、白い息が出ていた。


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