極上な恋のその先を。
「言っておくけど。あそこは、何か特別な事がない限り使わないと思う」
「……」
そ、そっか。
こんな高級ホテルの割烹料理店で、親子揃っていくなんて何かよっぽど大切な予定じゃないと……。
そう、たとえば……、お……。
「……」
で、でも!
そんなはずないっ!もしそうなら、センパイが何か言うはずだもん。
あたしに秘密にしてるはずない。
そうだよ……。
いきなり黙りこくったあたしに、美優はヒョイっと顔を覗き込んできた。
「……私、まだ待ち合わせには時間があるの。だから、確かめに行きましょ?大丈夫、私が一緒について行ってあげる」
「え?でもあたし……」
「それに。ここはね、会員制なのよ。ほら、このカードがないとお店にも入れない」
そう言って、ポーチから銀色に光るカードを取り出して見せた。
……。
その時、ようやくエレベーターはホテルの最上階へとたどり着いた。
胃の浮くような感覚の後、音もなく扉が開いていく。
あたしは鞄をキュッと握りしめて、ゴクリと生唾を飲みこんだ。