極上な恋のその先を。
「……」
青天の霹靂。
まさに、それだ。
渡部部長に並んだ、長身の男の人。
真っ黒でふわりとセットしてある、艶やかな髪。
そのえりあしは、クシャリとあちこちに跳ねている。
真っ白なシャツ。
緩んだネクタイ。
細い腰。長い足。
ちょ……、ちょっと待って?
あの人……。
『まさか』
そんな言葉が、頭の中を駆け巡る。
茫然と立ち尽くしていると、耳に飛び込んできたのは、聞き覚えのある低音。
「こっちも見てください。これが今度の企画で起用するものです」
まるで鼓膜をくすぐる、その透明な声。
この声……忘れるハズない。
だって、あたしが待ち焦がれた……
「……くど……うセンパイ?」
思わず零れたその声に、部長と向かい合っていたその顔がやっと振り向いた。
流れるような前髪。
切れ長の、アーモンドの瞳。
その瞳が2、3回瞬きを繰り返す。
いつか、あたしに何度もキスを落とした唇が開いて白い歯がチラリと見えた。