極上な恋のその先を。
「ぁ……」
何か言わなきゃ……。
でもなんて?
『お疲れさま』
『どうしてここに?』
『いつ帰って来たんですか?』
聞きたい事はたくさんある。
言いたい事も山ほどある。
なのに……。
あたしの口は、どの言葉も発してくれなくて。
ただ、バカみたいにパクパクと動くだけで……。
だけどその時。
「よお」
それだけ。
たったその一言を言って、固まってるあたしを見つめていたセンパイの瞳がフ、と逸れた。
……え?
茫然としていると、3年ぶりの再会の久遠センパイは再び部長と向かい合った。
……。
え……っと。……夢?
ぷに。
思わず頬をつねってみる。
「……痛い」
つねった頬は痛くて、これが現実なんだって教えてくれた。
夢にまでみた、センパイとの再会。
もっと、ロマンチックに……感動的になるはずだった。
なのに……。
連絡もなしに、いきなり目の前に現れた久遠和泉は、なぜか”いつも”と変わらなくて……。
な、ななな、
なんなの、あれっ!
あたしはセンパイに背を向けて、自分のデスクに向かった。