マラカスの男

黒人達の周りには日本人の若い女がぶら下がるように付いている。


狭い為に煙草と酒と何かを燃やしたような匂いが、混じりそこに日本人の女達の香水が時々強烈に鼻をついて異様な匂いを作り出していた。


黒人達は、薄暗がりの中で白い歯だけが目立ち相当に酔ってる様子も見て取れる。


場違いな所に来たかなと公一と話したが、まあ社会見学だと思えば良いかとなった。


公一も俺も海外に仕事で行ってて何度も危険な目にあったのでこのくらいの事は何ともなかった。


公一は僕の一つ年下の三十才でわりと温厚な性格をしていた。


俺達は、沖縄に建設業の作業員として来ていた。


ステージでは沖縄のおばあが、沖縄民謡を歌っている。


横にサンシンを抱えたおばあが一人付いているだけだが、悪くない。


言葉は分からないが沖縄のソウルミュージックだなと思った。


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