忠犬ハツ恋
着替えを終えてもなかなか外に出れず脱衣所から顔だけ出すと、
檜山君は玄関から出ようとしているところだった。

「ど、どこ行くの?」

「ちょっと下の酔っ払いの様子見てくる。
兄貴がいるから大丈夫とは思うけど…。」

「…行ってらっしゃい…。」

檜山君が貸してくれたTシャツはぶかぶかで、改めて体格の違いを思い知らされた。
妙に恥ずかしくてここからなかなか出れずにいたが、
檜山君がシャロンに行ったので勇気を出してリビングに向かう。

ふと見ると深夜なのにカーテンが開いたまま。
これでは外から丸見えだ。

カーテンを閉めに窓に近づくと向かい側、東野の真正面に大ちゃんの車がハザードを焚いて停まっているのが見えた。

大ちゃん、まだ東野にいたんだ…。
塾長にお昼にお礼を言いに行っただけなのに塾の講師って大変なんだな…。

その時大ちゃんの車の助手席にするりと滑り込む女性の姿が見えた。

「えっ?」

私は慌ててベランダに出るがその時には車は正に動き出すところで…。

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