HOLISM

「え?!まだ猫派になってないの?」


舞川くんは、私が完全に猫派になっていないことに納得できないようだった。

揺れている、ということに不満気だ。


「まじか…」と言いながら険しい顔をした舞川くんが思案するような顔になったので、また何か良からぬことを考えているんじゃないだろうかと不安になった。


もういっそ、嘘でもいいから猫派だと言った方がいいんじゃないだろうか?と思い始めた。



「アカネは中々、手強いね」

「そうなの?」

「あそこへ連れて行って猫派にならない奴は、人間じゃないと思ってる」


真顔でそう言い放つ舞川くん。

だとしたら、私は人間以外の何かだと思われているということだろうか。


「じゃあ、私は人間じゃないってこと?」


「アカネは人間になりかけってところかな。でも、今日は猫の魅力を充分知ってもらえたみたいだし。もうひと押しでめでたく人間って段階?」


「大丈夫、俺頑張るし、安心して」と、キッパリとそう言い放つ舞川くん。私を人間にするべく尽力するつもりらしい。頼もしさすら感じる。



「そっか。人間になれそうで安心した」



私は今、人間になりかけの状態らしい。

人間ではないけれど、それ以外の何者かと問われれば、それは違う。

自分が何者なのか自分でもわからなかった。酷く曖昧で未熟な存在。


早く人間になれたらいいなと、心の底から思った。
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