HOLISM
ペットショップから駅には10分ほどでついた。短い距離だったので、舞川くんと他愛もない話をしていたらあっという間に着いた。
駅の中で舞川くんとは別れた。
舞川くんと私の家は真逆の方向に位置しているようで、電車のホームの場所が全く違ったからだった。
舞川くんには「家まで送ろうか?」と言われたが、時計はまだ8時頃を指していたし、何より家が真逆の人に送ってもらうなんてことは気が引けたので、「大丈夫です」とやんわりとお断りした。
「今日、楽しかった。ありがとう」
別れる直前で舞川くんにお礼を告げた。
可愛い猫や犬と戯れさせてくれたことにも、チョコレートをくれたことにも、遊びに連れて行ってくれたことにも、色んなことに対して。
「ああ、また行こうな?」
当然のように『また』と言われ、『また』があるんだと胸が熱くなった。
だけど、『また』があっていいんだろうか?
「行こうな?」
「………はい」
思わずはいと言ってしまった。
「送れなくてごめんな?」
「大丈夫。まだ8時だし」
「そうは言ってもなあ」
「本当に大丈夫」
「でも、明日になったら『女子高生が死体で発見』とかニュースになってるかもしれないし?」
「………」
「そしたら俺はヒデに殺されるだろうし?」
ヒデというのはタチカワさんのことだろう。獰猛な肉食動物が、ひ弱な草食動物の喉笛に噛みつく姿が脳裏に浮かぶ。