瞳が映す景色
まあ、ゲンちゃんだって、もしかしたらと思っているかもしれないし。流されないと向かえない気持ちも存在するのだから、それならそれでいい。……あの眠そうな顔は、予想もしてないんだろうけど。
同情で心配になってしまいゲンちゃんを盗み見ると、まだなのかとこちらの様子を探っていた。
「もう行ったら?」
ここから近いのかと聞いてみると、少し歩くらしく、チキンをいれた紙袋を追加で二重にする。
一度仕舞ってしまったチキンたちを取り出し、二重にする作業が終わり、白鳥さんに渡そうと見上げてみたところ、
「――、?」
眼前には、サンタクロースがいた。
「あげる。クリスマスプレゼント」
「っ」
屈託なく微笑まれ、思わず喜んでしまった自分を追いやる。
「て言っても、ケーキの特典だけど~」
骨張った長い指、大きな手のひらに乗せられていたのは、小さな小さなスノードーム。球体の中には、サンタクロースとトナカイ、白い雪と、赤や緑や金銀の星が水中で揺れていた。
「いいの?」
おまけだけど。おまけかもしれないけど。
「行った先で争奪戦になっても面倒じゃない?」
それでも、嬉しくてたまらい。
「じゃあ、仕方ないかな」
「うん。そうしてよ~」
これくらいは、独り占めしても……。
「いってらっしゃい」
「ありがと~。今日は夜、行かないから」
「うん」
鉛色の空を指差し、白鳥さんが首を竦める。
「雪が降るだろうから、風邪ひかないでね」
「白鳥さんこそだよ。今日はマフラーしてないし」
「忘れちゃった。取りに戻るのもめんどいし」
チキンを一度ゲンちゃんに持たせ、抗議されたらしい白鳥さんはそれだけを受け取り、何処かのパーティー会場へと向かっていった。