瞳が映す景色

女性徒は俯いたまま頷いた。白鳥先生担任クラスの他に、もうひとつ副担任を務めているクラスの生徒。あまり目立つことのない、伏し目がちでいることが多かった印象の。


初めてはっきり見た大きな目からは、最初から最後まで涙が流れていた。感情を抑えきれる子じゃなかったんだろう。だから、いつも顔を上げることがなかったんだろうか。誰かに弱さを気付かれるのが怖かったんだろうか。


それは、オレとよく似ていた。


冗談でないことは伝わってきて。だから、ちゃんと伝えた。


後は、ここまで一緒に来た友達が慰めてくれる。 オレがもう踏み込むことじゃない。








――それで終わりのはずだった。


なのに、女性徒が泣いて向かった先は友達じゃなく、学年主任のところだった。


オレに何やらしつこくされたとか、髪を乱して泣きじゃくる姿は、本物に見えたらしい……。

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